インサイトの見つけ方|矛盾にこそ“売れるヒント”がある

ブランディングで重要なカギを握るのが
ニーズよりも「インサイト」です。
たとえばOisixのミールキット。
ただ時短するだけじゃない、“きちんと感”を演出する絶妙な設計になっていますが、
これは「早く済ませたい」というニーズを掘り下げた先にある“インサイト”の力です。
「手間はかけられない、でも手抜きと思われたくない」
──この矛盾した感情こそが、インサイトであり、
売れるサービスを生み出す起点となるのです。
今日はこのインサイトについて深掘りましょう。
インサイトとは?ニーズとの違い
インサイトとニーズの違いは顕在化しているかどうか。です。

- ニーズ=表に見える「こうしたい」という要望
- インサイト=本人も気づいていない「こうしたい。でも…」という矛盾や葛藤
マーケティングリサーチでよくあるのは、
アンケートを募り、その言葉だけを鵜呑みにするというもの。
「面倒」「時短がいい」といった言葉の羅列を見ると
ニーズはこうなっている!と決めつけてしまい
でも、それを鵜呑みにしたサービスを作ってしまいます。
しかし、それでは
お客様の本当のニーズ(インサイト)を捉えているとはいえません。
結果、「ただ早いだけ」の商品を欲しがる人はおらず、
売れないものになってしまうのです。

なぜ“矛盾”がヒントになるのか
人の本音は、まっすぐではありません。
- SNSはやめたい → でも見てしまう
- 本を読みたい → でも時間がない
- 高くてもいいものを → でも安く買いたい
この「Aしたい、でもBしたい」のような相反する欲求こそ、
行動のブレーキにも、動機にもなります。

つまり、矛盾を捉えられれば、人を“動かす”言葉が見つかるのです。
インサイトを見つける3つの視点
「でも」「だけど」の後に注目する
- 「健康に気をつけたい。でもお菓子はやめられない」
- 「毎日続けたい。だけど飽きちゃうんだよね」
→ この接続詞のあとにある“本音”を拾うクセをつける。
「本当にそう?」と疑ってみる
「98%の人が“早く作りたい”と言っている」
──それ、本当に“スピード”だけが理由?
→ もしかすると、「家族の反応が気になる」「手抜きって思われたくない」
という別の背景があるかもしれない。
“恥”や“見栄”の感情に注目する
インサイトには、人に言えない「見栄」や「不安」が隠れています。
- 「習いごとをさせたい」→ 他のママに見劣りしたくない
- 「スキンケアは時短でいい」→ でも老けたと思われたくない
言語化されたニーズの奥に、まだなにかくすぶっていないか?
と考えることで、インサイトは掘り起こすことができます!

わたしが実践している“言葉の聴き方”
たとえばあるお客さまは、
「発信が続かない」と言っていたけれど、掘っていくと
「何を書いても“薄い”と言われる気がして怖い」という感情があった。
つまり、悩みは“継続”じゃなく“自信喪失”だった。
このように、「表面的な困りごと」と「本質的な葛藤」はズレていることが多いのです。

ちなみに余談ですが、わたしがインタビューをしたあと、クライアントさんが「自分でも気づかなかった〜」というのは、このインサイトを掘り起こせているからなのです。
まとめ|矛盾を抱えた感情にこそ、希望がある
「やりたい。でもできない」
「わかってるけど、やりたくない」
この“ねじれ”を見つけて、そっと寄り添うように言葉にする。
インサイトとは、葛藤を可視化し、
希望に変えるプロセスとわたしは考えます。
Oisixが成功したのも、ただ便利なサービスではなく、
「手抜きに見せない工夫」に本音で応えたから。
インサイトは、数字には出ません。
でも、ことばにしたとき、人の心が動きます。
そしてそれを捉えて設計していくことで、売れる商品になれるのです。